簡単に断ち切ることのできない彼への激しい愛情

有川さんの本に出会いました。
有川さんの本は、夫の不倫の相手を対象として書かれていて、私のような妻の立場にあるものにとっては、きびしい言い方ですが、

敵慨心なくしてはそもそも手に取れるものではないと思います。
ところが私の場合、有川さんの本を見つけたとき、神様が与えてくれたような何か神秘的な出会いを感じたのです。
敵対心などは微醤もありませんでした。
というのも、もう二十年ほど前のことになりますが、私自身、家庭のある人を愛したことがあったのです。
大学生の時のアルバイト先の上司が相手でした。
その頃は、今とはちがって不倫の恋への風当りが非常に強く、妻子ある人を愛する女は「泥棒猫のような女」だと完璧に色眼鏡で見られる時代でした。
当時は不倫の恋に関するエッセイ本など皆無。
ですから有川さんのご本に出会ったとき、時代の進歩にある種の驚きさえ覚えました。
とはいっても、妻子ある人を愛してしまった女の苦しみは永遠に変わることがないのかなあ、と痛切に感じました。
その本の中には、苦しみや悲しみ、そしてそう簡単に断ち切ることのできない彼への激しい愛情で胸がはりさけそうだった二十年前の私の気持ちが綴られていました。

そもそも、不倫の恋を経験したことのある私ですから、夫の相手の女性を頭ごなしに責める資格はないと自分自身を戒める気持ちではいました。
でもそれは「過去の過ちに対する天罰」を受けよう、といった一種のおごりだったかもしれません。
有川さんの本がきっかけとなり、相手の女性の立場になって考えようと思ったのです。
そう、有川さんいうところの思いやりですね。

夫の不倫相手を思いやるなんて、きれいごとだと論破されるのが普通かもしれません。
でも、私の場合は少なくとも、それができました。
というのも、夫の相手の女性は私が思いやるに値する、とても健気な人のようでした。
自分から表に出て、妻と勝負するような人ではなかったはずです。

実際、私が夫たちのことを知ったのは、夫からその苦しみを密かに打ち明けられた夫婦共通の友人が悩んだ末に、私に打ち明けてくれたのです。
もし、そういうことがなければ、私の知らないうちに彼女は夫との恋愛を終わらせていたでしょう。

こうして確信しているようなことを書いていると、何だか単純でおめでたい人間だと思われるかもしれませんね。
でも、そんなふうに彼女を想像できるだけの鍵があるのです。

実は、彼女が夫に送った手紙を見つけたことがあります。
その終わりにはたしかこのようなニュアンスの文章があったと思います。

参考記事:できる社会人の異性との出会い方